不動産を売却することになった時、失敗しないためにどうすればよいか悩む方も多いのではないでしょうか。
不動産会社に依頼すれば不動産の売却はできますが、知識を蓄えておかないと損したり後で後悔することになりかねません。
この記事では不動産売却の方法や流れ・査定方法・用意すべき書類や費用などについて解説します。
目次
- 不動産売却に至る方の主な理由
- 住み替え
- 相続
- 転勤や離婚
- 不動産売却の方法
- 仲介
- 買取
- 不動産売却の一般的な流れ
- 相場を把握する
- 不動産を査定してもらう
- 媒介契約を結ぶ
- 販売活動を始める
- 売買契約を結ぶ
- 決済・物件の引き渡し
- 確定申告
- 査定には2種類ある
- 机上査定
- 訪問査定
- 不動産を売却するための必要書類
- 査定時に必要な書類
- 決済時に必要な書類
- 不動産売却時に掛かる諸費用
- 仲介手数料
- 印紙税
- 抵当権抹消費用
- ローン一括返済時に要する費用
- 譲渡所得税
- その他の費用
- まとめ
不動産売却に至る方の主な理由
不動産を売却する理由には、どのようなものがあるか気になりませんか?
多くの方は以下の理由で売却に至ることがほとんどです。
住み替え
同居していた子どもが独立したり、同居していた親がなくなったりすると、大きな住宅から小さな住宅に移転する方もいます。家族構成の変化により、住み替えするケースで不動産の売却に至ることがあります。
相続
所有していた親族がなくなったり、管理できない場合に売却を選択するという事例もあります。空き家にしておくと住宅は傷み、固定資産税や都市計画税などの税金・修繕費などの維持費も掛かります。また住宅ローンを完済していない場合には、毎月ローンの支払いが掛かってくるため売却せざるを得ないことも。
転勤や離婚
転勤が決まったときに、家族も帯同するか単身赴任するかで、住まいの処分方法も決まってきます。家族も連れて転勤する場合、すぐ売却を決断する人と、転勤先が気に入り永住を決め売却する人もいます。
また離婚が決まり、財産分与のために、住まいを売却して費用をねん出しようとするケースもあります。また離婚を機に、新生活を送ろうと売却を決意する人もいます。
不動産売却の方法
不動産を売却する方法としては、仲介と買取の二つの方法があります。
仲介
仲介は一般的な売却方法で、不動産会社に依頼して買主を探し、買主が現れた際に売却できます。
仲介のメリットは、高く売却できる可能性があることです。
売却できるまで期間を要することがありますが、早く売却する必要がなく、なるべく高く売却したい人にはおすすめの方法です。
買取
買取は市場で売却せず、不動産会社に直接買い取ってもらう方法です。
買取は不動産会社が買い取るため、早く売却できること、契約不適合責任(※)を負わないことなどのメリットが挙げられます。買取は高く売却するより、早く確実に売りたい場合に合った方法です。
(※)契約不適合責任売却した不動産が契約内容と異なる場合、売主は補修や契約解除・損害賠償などの責任を負わなければならないことを言います。
不動産売却の一般的な流れ
仲介を利用した場合、準備を始めてから売却できるまで3~6カ月程度かかるのが一般的です。不動産売却はどのような流れになるのか説明します。
相場を把握する
はじめに売却したい不動産の相場を調べましょう。あらかじめ相場を把握することで、不動産会社から査定を貰ったときに、それが適正なものかどうか判断できます。相場を調べるには次のサイトを利用すればよいでしょう。
国土交通大臣指定の不動産流通機構(レインズ)が、管理運営するコンピューターネットワークシステムで、似たような不動産の成約状況がわかります。
国土交通省のWEBページで、不動産の取引価格や地価公示価格・都道府県地価調査価格を検索し閲覧できます。
不動産を査定してもらう
大まかな相場を把握できたら不動産会社を探し、査定を依頼します。
大まかな査定もしてもらえますが、明確な査定を知りたい場合は不動産会社に訪問査定を依頼しましょう。
媒介契約を結ぶ
信頼できる不動産会社が見つかったら媒介契約を結びます。
媒介契約には次の3種類があります
媒介契約種別 | 契約可能会社 | 報告頻度 | レインズへの登録 | 契約期間 |
---|---|---|---|---|
一般媒介契約 | 複数社可能 | 報告義務なし | 任意 | 無期限 |
専属専任媒介契約 | 1社のみ | 1回以上/1週 | 契約日より5日内 | 3ヵ月 |
専任媒介契約 | 1社のみ | 1回以上/2週 | 契約日より7日内 | 3ヵ月 |
一般媒介契約は複数の不動産会社と契約でき、自分でも買主を探せるメリットがありますが、販売活動を十分してもらえない恐れがあります。一方専属専任媒介契約と専任媒介契約のメリットは、不動産会社が積極的に販売活動をしてもらえる可能性があることです。
販売活動を始める
不動産会社と媒介契約を終えたら、WEBサイトに登録しチラシに掲載するなど売却活動を開始します。購入希望者が現れたら、実際に物件を内覧してもらいます。物件のリフォームは必要ありませんが、成約に繋げやすくするため、きれいに掃除しておくことをお勧めします。
売買契約を結ぶ
買主が決まれば売買契約を結びます。不動産会社から重要事項を説明し、買主が納得したら売買契約に署名捺印し、買主から手付け金を受領します。売主は売買契約に必要な書類を用意し、不動産会社には仲介手数料の半額を支払います。
決済・物件の引き渡し
不動産の引き渡しは、一般的に売買契約のあと1カ月程度たってから行われます。
買主から売買代金から手付金を引いた金額を受領し、住宅の鍵や書類を引き渡します。不動産会社には仲介手数料の残金を支払い、司法書士には報酬を支払います。
確定申告
不動産を売却し利益が出た場合、翌年確定申告を行い、譲渡所得税を納めなければなりません。その他、各市区町村に納める住民税、東日本大震災からの復興を目的とする復興特別所得税があります。
査定には2種類ある
既に触れたとおり、査定には簡易査定と訪問査定があります。どんな違いがあるか説明しましょう。
机上査定
机上査定は、実際の不動産を見ることなくデータをもとに査定する方法で、早ければ数時間、遅くても1~2日で結果がわかります。正確な査定はできない場合がありますが、手間がかからず複数の会社に依頼しやすいメリットがあります。したがって複数の不動産会社に依頼し、比較したい場合に向いた方法といえるでしょう。
訪問査定
訪問査定は実際の不動産を見て現状を把握し査定する方法で、結果が出るまでは1週間程度かかります。精度の高い査定ができ、媒介契約を結ぶ際の不動産会社を見極めるのに適した方法といえます。机上査定で大体の査定額を掴み、不動産会社を数社に絞り込んで訪問査定を受けるとよいでしょう。
不動産を売却するための必要書類
不動産を売却するためにはさまざまな書類が必要です。書類によっては取得に時間を要するものもあるため、あらかじめ準備しておきましょう。
査定時に必要な書類
査定時には次のような書類が必要になります。必要書類は不動産会社によって異なる場合があります。
- 登記簿謄本または登記事項証明書
- 売買契約書
- 物件購入時の重要事項説明書
- 登記済権利書または登記識別情報
- 地測量図・境界確認書
- 公図
- 固定資産税納税通知書および固定資産税評価証明書
- 物件の図面
- 設備の仕様書
- 建築設計図書・工事記録書
- 耐震診断報告書
- 建築確認済証および検査済証(戸建住宅)
- マンションの管理規約または使用細則(マンション)
- マンション維持費関連書類(マンション)
- 耐震診断報告書
決済時に必要な書類
決済の際には次のような書類が必要です。
- 本人確認書類
- 実印・印鑑証明書
- 住民票
- 金融機関口座情報
- ローン残高証明書
- 鍵や必要な書類
- 不動産仲介会社への仲介手数料
- 司法書士への報酬
不動産売却時に掛かる諸費用
不動産を売却する際には、手数料や税金などさまざまな費用が掛かります。売却金額がそのまま利益になるわけではありませんので、注意しましょう。
仲介手数料
不動産会社の仲介により不動産を売却するためには、仲介手数料が必要です。
仲介手数料の上限は次の表のように決まっています。
【仲介手数料の上限】
取引物件価格(税抜) | 仲介手数料の上限 |
---|---|
400万円超 | 取引物件価格(税抜)×3%+6万円+消費税 |
200万円~400万円以下 | 取引物件価格(税抜)×4%+2万円+消費税 |
200万円以下 | 取引物件価格(税抜)×5%+消費税 |
出典 宅地建物取引業法
取引価格が400万円超となる場合は、次の速算式で計算するのが簡単です。
仲介手数料=取引物件価格(税抜)×3%+6万円+消費税
なお不動産会社が直接買取する場合は、仲介手数料はかかりません。
印紙税
不動産を売却する場合には、売買契約書を締結する必要があります。その際契約書には印紙を貼付し印紙税を納めなければなりません。
印紙税は売却金額によって下記のように異なります。なお令和6年3月31日までは軽減税率が適用になります。
【印紙税率】
契約書の金額 | 税額 | 軽減税額 |
---|---|---|
500万円を超え1,000万円以下のもの | 1万円 | 5千円 |
1,000万円を超え5,000万円以下のもの | 2万円 | 1万円 |
5,000万円を超え1億円以下のもの | 6万円 | 3万円 |
1億円を超え5億円以下のもの | 10万円 | 6万円 |
出典:国税庁 印紙税額
抵当権抹消費用
住宅ローンを組んで住宅を購入した場合で売却をする際は、原則的にはローンを完済し抵当権を抹消しなければなりません。
抵当権を抹消する際には、不動産1つにつき1,000円の登録免許税を要します。
仮に土地1つ、建物が1つの場合には2,000円の登録免許税が必要で、土地が分かれているときはその分の登録免許税を納める必要があります。
なお登記手続きを司法書士に依頼する場合には、報酬として1万円~3万円程度要します。
ローン一括返済時に要する費用
抵当権を抹消するには、ローンの残債を一括返済しなければなりません。
ローンの一括返済は、住宅を売却した代金で残債を完済する方法が一般的です。
金融機関の店頭にて繰り上げ返済を行った場合、大手銀行では2~3万円程度の繰り上げ返済手数料が必要です。ネット銀行では返済手数料が無料の場合もあります。
譲渡所得税
既に触れたとおり、不動産を売って利益が出た時は、譲渡所得税を納める必要があります。
譲渡所得税は、不動産を売却した翌年の2月16日~3月15日までの間に税務署に申告しなければなりません。
譲渡所得税には所得税と住民税・東日本大震災からの復興を目的とする復興特別所得税があり、税率は所有期間により下表のように異なります。
【譲渡所得税の税率】
所得 | 所有期間 | 所得税率 | 住民税率 | 合計 |
---|---|---|---|---|
短期譲渡所得 | 5年以下 | 30.63%※ | 9% | 39.63% |
長期譲渡所得 | 5年超 | 15.315%※ | 5% | 20.315% |
※復興特別所得税を含む
納税額は次の式により算出します。
譲渡所得=売却代金-(取得費+経費)
納税額 = 譲渡所得 × 税率(所得税・住民税)
なお譲渡所得が出た場合には、「3,000万円特別控除」や「居住用財産の買換え特例」などの特例や控除を使える可能性があります。
また損失が出た場合にも使える特例があるので、よく調べて必ず確定申告をしましょう。
その他の費用
住宅を取り壊して更地にして売却する場合は、解体費用が掛かります。住宅が木造の場合と鉄骨や鉄筋コンクリートにより解体費用は異なります。
解体が必要な場合は解体業者へ見積りを依頼しましょう。
まとめ
不動産の売却には時間がかかりますが、きちんと準備をして望めば難しいものではありません。
売却に関する希望や不安があれば、一人で悩まずに仲介を依頼する業者に相談してみましょう。
いわき土地建物では不動産を売りたいお客様のご相談も承っております。
他社様で見積もりを取った場合でも、お気軽にご相談くださいませ。
お客様にとって一番のご提案ができるよう努めております。