「不動産を早く売却したい」「仲介には時間がかかる」と心配になりますよね。
さまざまな事情で、不動産を早く売却しなければ次のステップに進めないということもあり、「不動産の買取って実際どうなの?」と気になっている方も多いと思います。
不動産を売却する方法は、これまでは仲介会社による「仲介での売却」が一般的ですが、近年は早く確実に現金化できるとして「買取」の需要も高まっています。
この記事では、買取の依頼方法やメリット・デメリット、買取に向いたケースなどを解説します。
目次
- 不動産買取とは
- 即時買取
- 不動産買取のメリット
- メリット1. 仲介手数料が発生しない
- メリット2. 短期間で売却できる
- メリット3. 近所の人に知られにくい
- メリット4. 売却の手間がかからない
- メリット5. 契約不適合責任が免除される
- 契約不適合責任とは?
- メリット6. 建築不可物件でも売却できる可能性がある
- 不動産買取のデメリット
- デメリット1. 市場価格より売却価格は安くなる
- デメリット2. 買取できない物件もある
- 不動産買取に向いているケース
- 早く売却したい
- 所有者が高齢
- 売却までの管理が難しい
- 仲介では売却できなかった
- 築年数の古い物件
- 問題がある物件
- 近所に知られずに売却したい
- 不動産買取の流れ
- 1.情報を収集する
- 2.査定を受ける
- 3.不動産会社と売買契約を結ぶ
- 4.決済・引き渡し
- 不動産買取を利用する際に必要な税金や費用
- 不動産買取に必要な税金
- 譲渡所得税
- 登録免許税
- 印紙税
- 不動産買取に必要な費用はあるか?
- 住宅ローン一括返済手数料(残債がある場合)
- 司法書士への報酬
- まとめ
不動産買取とは
不動産会社に、他の購入希望者との仲介をしてもらわずに、不動産会社に直接買い取ってもらう方法です。
買取は売主と不動産会社が直接価格交渉するため、早く確実に現金化できることが一番の特徴です。
即時買取
不動産の即時買取とは、不動産会社に仲介を依頼せず、直接買い取ってもらう方法です。市場に出さないため、1週間ほどで売却できます。
広告や内覧などの売却活動は不要なため、手間と時間を省けます。
不動産買取のメリット
不動産の買取はどのようなメリットがあるのか、6つに分けて解説します。
メリット1. 仲介手数料が発生しない
買取は直接不動産会社へ売却するため、仲介手数料は発生しません。
不動産会社に売買の依頼をすると、次のような仲介手数料を支払わなければなりません。
仲介手数料は大きな金額になるため、買取を利用するメリットは大きいと言えます。
取引物件価格(税抜) | 仲介手数料の上限 |
---|---|
400万円超 | 取引物件価格(税抜)×3%+6万円+消費税 |
200万円~400万円以下 | 取引物件価格(税抜)×4%+2万円+消費税 |
200万円以下 | 取引物件価格(税抜)×5%+消費税 |
出典 宅地建物取引業法
なお取引価格が400万円超の時は、仲介手数料の上限は次の速算式で算出できます。
仲介手数料=取引物件価格(税抜)×3%+6万円+消費税
メリット2. 短期間で売却できる
不動産会社への買取が決まれば、3日~1週間程度で現金化できます。事情があって早く確実に現金化したいと考えている人にとっては、買取を利用するメリットは大きいと言えます。
メリット3. 近所の人に知られにくい
買取は売却活動の必要がないため、近隣の人に不動産を売りに出していることを知られにくいといえます。
仲介の場合にはチラシ広告を出したり、購入希望者に内覧してもらうため不動産を売りに出していることを知られやすくなります。不動産の売却を検討していることをを知られたくない方にはおすすめの方法といえるでしょう。
メリット4. 売却の手間がかからない
不動産の買取りは、宣伝広告や価格交渉・内覧などの売却活動は必要ありません。またハウスクリーニングで、部屋をきれいにすることも不要です。
売却するための時間と手間を省けるので、忙しい人にとってはメリットがあるのではないでしょうか。
メリット5. 契約不適合責任が免除される
不動産会社が買い取る場合は、一般的には契約不適合責任を適用されることはありません。
仲介では、不動産が契約内容と異なるときは、買主は売主に対し契約不適合責任を問うことができます。
契約不適合責任とは?
たとえば雨漏りがするのに、それを契約書に記載しなかったり黙っていた場合は、補修したり契約解除を求められることがあります。しかし買主=不動産会社の場合は、一般的に契約不適合責任が適用されないため、契約解除や損害賠償は免除されます。
メリット6. 建築不可物件でも売却できる可能性がある
建築不可物件は一般的には建物を建てられないため、仲介に出しても売却に至る可能性が低い傾向にあります。
しかし買取を利用すれば、不動産会社に買取ってもらえる可能性があります。再建築不可の土地でも建物が残っている場合には、柱や梁などの躯体を残すことにより、リフォームやリノベーションすることが可能なためです。
不動産買取のデメリット
買取には以上のようにさまざまなメリットがありますが、デメリットもあるためよく検討して利用しましょう。
デメリット1. 市場価格より売却価格は安くなる
不動産の買取では、仲介と比べ一般的に市場価格の7~9割程度の売却額になやすい傾向があります。
不動産会社は、買い取った不動産をリフォームやリノベーションして売却します。買取価格には、売却までの期間やリフォーム費用なども考慮に入れるため、仲介ほどの価格を出すことが難しくなります。
デメリット2. 買取できない物件もある
不動産会社は、どんな物件でも買取れるわけではありません。再販売が困難な物件は、買取が難しいでしょう。
不動産買取に向いているケース
不動産会社による仲介での売却よりも、買取を利用した方がよいケースもあるので、ぜひ知っておきましょう
早く売却したい
できるだけ早く不動産を売却したい場合は、仲介より買取を選んだ方が確実に売却できます。
買取をおすすめするのは、次のようなケースです。
- 売却により急いで財産を分ける必要がある
- 複数の相続人で遺産を分けなければならない
- 転勤が決まり急ぎ不動産を売却する必要がある
これらは、売却までの期間が長くなると誰が管理するか、管理できていないと価値を落としてしまう可能性が高まり、新たなトラブルが発生してしまう可能性があるためです。
所有者が高齢
不動産の所有者が高齢の場合は、以下のことが考えられます。
- 施設に転居するため、所有する土地や建物が不要になった
- 亡くなる前に財産分与について考えている
- 相続者がいないため、生きているうちに処分したい
- 生活が困難な物件に感じてきたため転居したい
- 老後資金の補填
そのほか様々な事情がありますが、親族の方からご相談いただくケースも増えています。
売却までの管理が難しい
不動産を相続したが遠方にあり、仲介による売却まで管理できない場合や、住宅が老朽化しているような場合は、買取を利用し早く売却することをおすすめします。
仲介では売却できなかった
仲介で不動産の売却を考えたが、半年たっても売れなかった場合は買取を考えた方がよいでしょう。不動産を所有していると、固定資産税や都市計画税などの税金・火災保険・修繕費などの費用が掛かってきます。そのため仲介で売れるのを待つより、買取に切り替えた方が無駄な費用を抑えられます。
築年数の古い物件
住宅付きの土地を売る場合、建物が古いと仲介で売却するのは難しくなります。簡単なリフォームで住める住宅であれば売却できる可能性もありますが、大きなリフォームやリノベーションが必要な場合は、不動産会社に買い取ってもらった方が良いかもしれません。
問題がある物件
不動産事態に何か問題がある場合は、仲介で売却するのは難しい傾向があります。
次のようなケースでは買取を利用した方がよいでしょう。
- 事故や事件のあった物件
- 生活環境や交通の便が悪い物件
- 土地の形が悪い物件
- 不動産が接する道路の幅や間口が狭い物件
近所に知られずに売却したい
仲介で売却する場合、広告を行い内覧してもらうことが必要です。頻繁に人の出入りが発生することを防ぐなら、不動産会社に買い取ってもらった方がよいでしょう。
不動産買取の流れ
不動産買取で、売却するまでの流れについて説明します。
1.情報を収集する
まずは不動産の買取サービスを実施している不動産会社を探す必要があります。
中には違法な手段を用いて買い取ろうとする業者も存在するため、注意が必要です。
2.査定を受ける
気になる不動産会社を見つけたら、査定を依頼します。
机上査定、訪問査定などがありますが、正確な査定額を知るためには、実際に所有する建物や土地をみてもらう訪問査定がおすすめです。
3.不動産会社と売買契約を結ぶ
信頼できる不動産会社を見つけられたら、売買契約を結びます。売買契約書には、売買金額だけでなく手付金や物件についての諸条件が記載されているため、しっかりと確認しましょう。問題がなければ契約書に署名捺印し、不動産会社から手付金を受け取ります。
買取りに必要な書類は不動産の種類によって異なるため、あらかじめ用意しておきましょう。
【不動産買取に必要な書類と、可能ならあった方が良い書類】
土地 | 一戸建て | マンション | |
---|---|---|---|
売買契約書 | ◯ | ◯ | ◯ |
権利証(登記済証) | ◯ | ◯ | ◯ |
建築確認通知書 | ◯ | ◯ | ✕ |
耐震診断報告書 | ◯ | ◯ | ◯ |
建築図面・工事記録書 | ◯ | ◯ | ◯ |
固定資産税納税通知書 | ◯ | ◯ | ◯ |
測量図面・建物図面 | ◯ | ◯ | ✕ |
管理規約書 | ✕ | ✕ | △ |
購入時のパンフレット | ◯ | ◯ | ◯ |
ローン残高証明書 | ◯ | ◯ | ◯ |
身分証明書 | ◯ | ◯ | ◯ |
印鑑証明書 | ◯ | ◯ | ◯ |
実印 | ◯ | ◯ | ◯ |
住民票 | ◯ | ◯ | ◯ |
銀行口座書類 | ◯ | ◯ | ◯ |
4.決済・引き渡し
決済は通常司法書士が同席し金融機関で行います。売主は不動産会社より、売却金額から既に受け取った手付金を引いた残高を受領します。
なお不動産を売却して譲渡益が出た場合は、翌年確定申告して納税しなければなりません。
なお確定申告の際にはさまざまな特例を利用できる場合がありますので、良く調べて無駄な税金を納めないようにしましょう。
不動産買取を利用する際に必要な税金や費用
買取りを利用する場合は、仲介手数料は発生しませんが、さまざまな税金や費用が必要です。
不動産買取に必要な税金
不動産買取では、利益が出た場合にかかる税金と、利益が出なくても支払わなければならない税金があります。
譲渡所得税
譲渡所得税は、不動産を売却して利益が出た場合に支払わなければならない税金です。
譲渡所得税には、確定申告をして国に納める所得税と各市区町村に納める住民税、それに東日本大震災からの復興を目的とする復興特別所得税があります。
納税額は次の式で算出できます。
譲渡所得=売却代金-(取得費+経費)
納税額 = 譲渡所得 × 税率(所得税・住民税)
譲渡所得税の税率は、所有期間により異なります。
【譲渡所得税の税率】
所得 | 所有期間 | 所得税率 | 住民税率 | 合計 |
---|---|---|---|---|
短期譲渡所得 | 5年以下 | 30.63%※ | 9% | 39.63% |
長期譲渡所得 | 5年超 | 15.315%※ | 5% | 20.315% |
※復興特別所得税を含む
登録免許税
ローンを利用して不動産を購入した場合、不動産を売却するときにはローンを完済し抵当権を抹消する必要があります。不動産1つにつき1,000円必要ですので、土地と建物が一つずつの場合は2,000円必要です。
印紙税
売買契約を締結した際に契約書に貼付する印紙代で、売却金額により印紙税は異なります。
【印紙税率】
契約書の金額 | 税額 | 軽減税額 |
---|---|---|
500万円を超え1,000万円以下のもの | 1万円 | 5千円 |
1,000万円を超え5,000万円以下のもの | 2万円 | 1万円 |
5,000万円を超え1億円以下のもの | 6万円 | 3万円 |
1億円を超え5億円以下のもの | 10万円 | 6万円 |
出典:国税庁 印紙税額
不動産買取に必要な費用はあるか?
不動産の買取に必要な費用は、次のようなものがあります
住宅ローン一括返済手数料(残債がある場合)
住宅ローンの残債がある場合には、不動産を売却できません。金融機関に一括返済する必要がありますが、1~3万円程度の手数料が必要です。
司法書士への報酬
抵当権抹消手続きは自分でも行えますが、司法書士に依頼する場合は1~2万円程度の報酬が必要です。
まとめ
不動産を売却するのは仲介が一般的ですが、買取を利用した方がよい場合もあります。
特に事情があって早く売却したい場合は、買取をおすすめします。
状況や物件の特性などを考えて決めましょう。
いわき土地建物では不動産の買取査定も承っております。
お客様にとって一番のご提案ができるよう努めます。
もし不動産の売却にお悩みなら、お気軽にご相談くださいませ。