アパート経営して収入を得たいと思っていても、失敗が怖くて躊躇している人も多いのではないでしょうか。
アパート経営には多くの費用が掛かるため、失敗して借金を背負うのは確かに嫌ですよね。
しかしリスクに対する備えをしっかり行えば、年金代わりの収入になったり節税対策になるなどさまざまなメリットを享受できる可能性があります。
そこでこの記事ではアパート経営のメリットとデメリット、どのようにしたらリスクを回避できるのかなどについて解説します。
目次
- アパート経営のメリット
- 長期間にわたって安定した収入を期待できる
- アパート経営は生命保険の代わりになる
- アパート経営は節税対策になる
- 所得税と住民税の控除を得られる可能性
- 相続税がお得
- アパート経営は手間と時間がかからない
- アパート経営はインフレ対策になる
- 自己資金をさほど用意しなくてもアパート経営ができる
- アパート経営で知っておくべきデメリット・リスクと対策
- 空室が発生するリスク
- 【空室対策】
- 家賃滞納リスク
- 【家賃滞納の対策】
- 建物の老朽化
- 【建物老朽化対策】
- 家賃が下落するリスク
- 【家賃下落対策】
- 入居者トラブルが発生するリスク
- 【トラブル発生対策】
- ローン金利が上昇するリスク
- 【金利上昇対策】
- 災害が発生する可能性
- 【災害発生対策】
- 修繕費が発生するリスク
- 【修繕費対策】
- 流動性
- 【流動性対策】
- まとめ
アパート経営のメリット
アパート経営をすると、どのようなメリットがあるのでしょうか?
長期間にわたって安定した収入を期待できる
アパート経営をすれば、長期にわたって安定した家賃収入が期待できます。
日本賃貸住宅管理協会が発表した2021年度の『賃貸住宅市場景況感調査』によると、全国のファミリー世帯の平均居住期間は5年1カ月という長期にわたります。
単身世帯でも3年3カ月住むため、その間は毎月継続して安定した家賃収入を得られる可能性があります。
また退職後は年金代わりの収入としても活用し、ゆとりのある老後を送れるメリットがあります。
アパート経営は生命保険の代わりになる
ローンを組んでアパート経営を始める場合には、通常「団体信用生命保険(団信)」に加入する必要があります。
金融機関は、ローン契約者が病気や事故でローンを返済できなくなるリスクを回避するために、団信に加入することを義務付けるのが一般的です。
団信に加入するメリットとして、契約者が死亡したり高度の傷害を負った場合、アパートローンの残債は保険金により支払われ、その後の支払いは免除されます。
遺された家族は、アパートを自分の所有とし、引き続き家賃収入を得られることも大きなメリットの一つです。
アパート経営は節税対策になる
アパート経営をすれば、所得税と住民税、それに相続税を節税できる可能性があります。
所得税と住民税の控除を得られる可能性
不動産所得は総合課税のため、給与所得などほかの所得と合わせて課税されます。
そのためアパート経営で赤字が出れば、ほかの所得と合算し課税対象額を減らせます(損益通算)。
アパートを取得した年は、不動産取得税や火災保険料・減価償却費・司法書士への報酬などさまざまな費用が掛かります。
そのためアパート経営の初期は赤字で計上できる場合が多いため、給与所得などと損益通算することで、所得税と住民税を減らせる可能性があります。
なお損益通算を行った結果まだ損失がある場合には、翌年以降最大3年間利益から控除できます(繰越控除)。
なお損益通算と繰り越し控除を行うにあたり、確定申告が必要になります。
相続税がお得
不動産を所有していると、相続性対策になります。現金や預貯金は、そのままの金額が相続税評価額です。
しかし不動産は時価ではなく相続税評価額(土地は時価の7~8割、建物は建築費の4~5割)で計算されるため、相続税を低く抑えられます。
またアパートのように収益用不動産として貸している場合には、貸家建付地となり相続税評価額が80%程度になるため、一層節税効果は高くなります。
アパート経営は手間と時間がかからない
アパート経営では、管理会社に業務を委託すれば手間と時間がかかりません。
アパート経営は、入居者の募集に始まって契約や家賃の集金と督促・クレーム処理・修繕などさまざまな業務があります。
しかし信頼できる管理会社を見つけられれば、ほとんどすべての業務を任せられるメリットがあります。
副業としてアパート経営をする場合でも、本業に集中することができます。
アパート経営はインフレ対策になる
インフレ時に不動産を持っていると、物価の上昇とともに不動産価値も上がっていくためインフレ対策になります。
現金や預貯金で所有していると、インフレにより貨幣価値は減ってしまいます。
総務省が発表した令和4年11月の消費者物価指数は前年同月比3.8%と急上昇しており、今後も上昇していく可能性は高いといえるのではないでしょうか。
そういった視点でも、不動産を所有するメリットは大きいといえます。
出典:総務省 2020年基準消費者物価指数
自己資金をさほど用意しなくてもアパート経営ができる
アパートローンを利用すれば、レバレッジを掛けて自己資金の10倍以上の投資用不動産を取得できる可能性があります。たとえば1千万円の自己資金がある場合には、1億円以上の物件を購入できるメリットもあり得ます。
アパートローンの審査は比較的厳しい傾向があり、個人の資産状況や勤務先の情報などのほかに、投資用物件についても審査されます。
購入する物件の担保価値が高ければ、自己資金がなくてもアパート経営に必要な費用まで全額借り入れられる(オーバーローン)可能性もあります。
アパート経営で知っておくべきデメリット・リスクと対策
アパート経営には次のようなデメリットやリスクがあります。
● 空室が発生するリスク
● 家賃滞納リスク
● 建物の老朽化
● 家賃が下落する可能性
● 入居者トラブルが発生する可能性
● ローン金利の上昇
● 災害が発生するリスク
● 修繕費が発生するリスク
● 流動性リスク
それぞれのデメリットやリスクと対策について解説します。
空室が発生するリスク
アパート経営で、空室は避けて通れない問題です。
退去者が出て空室が発生すると、その期間家賃収入を得られません。
短期間で空室が埋まればよいですが、長期間にわたって入居者が現れないと、金融機関への返済が滞ってしまうこともあるでしょう。
【空室対策】
● 人気のエリアでアパート経営をする
空室のリスクに対応するためには、何といっても需要のあるエリアでアパート経営をすることです。駅から近い交通の便の良い場所に物件を購入すれば、たとえ空室が発生してもすぐに部屋は埋まる傾向があります。
● アパートのメンテナンスを行う
アパートの築年数や設備についても、入居者にとって重要なポイントです。入居者が満足して住み続けてくれる良好な住環境を作れば、入居者は満足して長く住み続けてくれます。
外壁や屋根・室内のメンテナンスを行い、設備を新しくすることで空室の発生をある程度抑えられます。
● 信頼できる不動産会社に管理を委託する
信頼できる管理会社に管理を委託すれば、空室が発生しても直ちに対応してくれます。入居者募集の宣伝活動を積極的に行い、空室を埋めてくれる期待感があります。
家賃滞納リスク
家賃を滞納されてしまうと、空室の発生と同様に家賃が入ってきません。
1カ月程度の滞納であれば、うっかりして支払いを忘れていることもあるでしょう。
しかしいつまでも家賃を支払う意思がない方に対しては、強制退去させるしかありません。
訴訟を起こすことになれば、長期間家賃が回収できないだけでなく、多額の訴訟費用や強制執行費用を負担しなければなりません。
【家賃滞納の対策】
● 入居審査を厳格に行う
入居審査では、支払い能力や勤務先・勤続年数を厳しくチェックしましょう。一般的に家賃を支払える適正な金額は、月収の30%までといわれています。特に月収の少ない人は、可処分所得が少ないため気を付けましょう。
● 管理会社に早めに督促してもらう
家賃の集金は管理会社の仕事なので、きちんとチェックしてもらう必要があります。3カ月も家賃がたまると支払えなくなることもあるので、早め早めに督促してもらいましょう。
● 家賃保証会社への加入を義務付ける
「家賃保証」とは、家賃保証会社に保証人の代わりになってもらうことで、滞納があったときには立替えしてくれる制度です。入居者に手数料を払ってもらう必要がありますが、保証人を立てる場合と比べて時間や労力を省ける上に安心です。
建物の老朽化
建物が老朽化し設備も古くなると、物件の魅力は薄まり入居者が集まりにくくなります。 オーナーは空室を埋めるため家賃の値下げを余儀なくされ、想定していた利回りを取れなくなる恐れがあります。
【建物老朽化対策】
● 出口戦略を考えておく
建物や設備の老朽化は必然的なものなので、アパート経営を始めるときに出口戦略も考えておきましょう。
あらかじめ老朽化対策を長期的な収支計画に組み入れ、スケジュールに沿ってマンションの売却やリフォーム・リノベーションを着実に実行するだけです。
また空室対策のところで述べましたが、人気のエリアに物件を取得し、適時メンテナンスを行えば、多少老朽化しても空室の発生はある程度抑えられます。
家賃が下落するリスク
アパート経営をしていると周辺に競合物件ができたり、景気が悪化したり、会社や学校の移転などで家賃を下げざるを得ないリスクに直面することもあります。
全額自己資金でアパートを取得し給与収入などがあれば、生活に支障をきたすことはないかもしれません。
しかしアパートローンを組んでいる場合には、家賃下落により返済が難しくなることもあります。
【家賃下落対策】
● 人気の高い設備を導入する
家賃下落は、人気の高い設備を導入することである程度抑えられます。全国賃貸住宅新聞の「入居者に人気の設備ランキング2022」によりますと、「この設備があれば周辺相場より家賃が高くても入居が決まる」TOP10は次の通りです。
この中にはアパートでは設置が難しい設備もありますが、実現できれば大きな効果を発揮するでしょう。
ランク | 単身者向け | ファミリー向け |
---|---|---|
1位 | インターネット無料 | インターネット無料 |
2位 | オートロック | 追い炊き機能 |
3位 | 高速インターネット | オートロック |
4位 | 宅配ボックス | 高速インターネット |
5位 | 浴室換気乾燥機 | システムキッチン |
6位 | 独立洗面台 | 宅配ボックス |
7位 | システムキッチン | 浴室換気乾燥機 |
8位 | 24時間利用ゴミ置き場 | ガレージ |
9位 | 防犯カメラ | ホームセキュリティ |
10位 | 追い炊き機能 | 24時間利用ゴミ置き場 |
またほかの章で述べましたが、人気のエリアでアパート経営をすること、建物のメンテナンスを適時行うことにより家賃下落をある程度抑えることが可能です
入居者トラブルが発生するリスク
アパートの居住者同士や近隣の人とのトラブル、クレームが起こることもあります。
はじめは些細な問題でも、初期対応を間違えると入居者が退去するなど大きな問題に発展する恐れがあります。
【トラブル発生対策】
● 信頼できる管理会社を選ぶ
入居者トラブルにおいても、管理会社の役割は重要なため、信頼できる会社を選ぶことが大切です。トラブル対応は管理会社の業務の一つであり、クレームやトラブルは早期に対応し解決しなければなりません。
一度こじれると修復が難しくなるので、早め早めに対応しトラブルの目を摘みましょう。
● 入居審査を厳格化する
反社会的勢力の人が入居しないためには、入居審査を厳しく行うことです。契約書に反社会的勢力の項目を記載すること、身分証明書の確認、挙動などをしっかり確認することが大事です。
ローン金利が上昇するリスク
変動金利型のアパートローンを組んでいる場合、金利の上昇により返済額が多くなって収支が悪化する恐れがあります。
アパートローンの金利タイプには、大きく分けて変動金利型と固定金利型がありますが、金利の低い変動金利型を選ぶのが一般的です。
しかし変動金利は、金融政策により大きく上昇する可能性があり、注意しなければなりません。
【金利上昇対策】
● 固定金利を選ぶ
固定金利は、ローンを借りている間は金利の変動はありません。固定金利は変動金利と比べ通常返済額は多くなりますが、金利の上昇を心配することはありません。
● 頭金を多く入れる
頭金を多く投入すれば、ローン借入額が減るため金利上昇の影響を少なくできます。
● 繰り上げ返済を活用する
余裕資金ができたら、繰り上げ返済を行いましょう。繰り上げ返済してローン残高を早く減らせれば、金利上昇の影響を低く抑えられます。
災害が発生する可能性
日本は災害が多いため、地震や水害・火災などにより建物が滅失することがあるかもしれません。
物件が損傷すると、多額の修繕費が掛かり入居者は住むことができなくなることもあります。
そうなった場合には家賃が入らないだけでなく、ローンを組んでいる人は金融機関への返済も難しくなってしまいます。
【災害発生対策】
● 火災保険や地震保険に加入する
ローンを組む際は、通常火災保険への加入を義務付けられますが、その際地震保険にも必ず入るようにしましょう。また物件を購入する際には、新耐震基準に合った物件を選べば建物が倒壊するリスクを減らせます。
● 購入に際してはハザードマップを確認しておく
物件を取得する際には、ハザードマップを確認し、被害が出にくいエリアの物件を選びましょう。なおハザードマップは、各地方自治体のホームページで調べられます。
修繕費が発生するリスク
アパートは、築10年を過ぎると建物や設備の不具合が多く出るようになります。
屋根や外壁を補修すべき時期なのに怠ると、不具合が露呈し入居者は敬遠することになるでしょう。
そのためオーナーは、空室を埋めるために家賃を下げて対応せざるを得なくなります。修繕費を捻出できず放置しておくと、さらに大掛かりな修繕工事が必要になってしまいます。
【修繕費対策】
● 大規模な修繕に備え積み立てる
建物は老朽化し設備は故障し、大きな修繕が必要になる日が必ず来ます。その時になってお金がないと慌てないように、あらかじめ修繕費用を積立していくことが必要です。
● 信頼性のある建設会社に建築を依頼する
信頼のおける会社に建築を依頼すれば、設計や施工面で間違いは少ないでしょう。そのため建物の瑕疵や設備の故障も少なく、メンテナンス体制も確立しているため補修費用を抑えられる可能性はあります。
流動性
不動産は高額な商品であり流動性も低いため、売りたいと思ったときに簡単には売却できません。 たとえば金融機関にローンの返済ができないため売却したい、相続のため売却したいなど至急お金が必要になることもあるでしょう。
しかしアパートの流動性が低いため、売却できなかったり価格を下げて対応せざるを得ないこともあります。
【流動性対策】
● 売りやすい物件を取得する
アパート経営をする場合には、交通の便が良い人気のエリアに物件を求めましょう。人気のエリアにあるアパートならば、空室の心配がないため需要は多く、売りたいとき売却できる可能性があります。
またアパート経営は、余裕資金を持って経営する必要があります。余裕資金があれば、安い価格で売却せざるを得ないことも少なくなるでしょう。
まとめ
不動産投資は株式投資などと比べると、比較的リスクは少ないといわれています。
しかしアパート経営も投資であることに違いはないので、きちんとリスク対策をして始めなければなりません。
この記事ではリスク対策をいろいろ記述しましたが、究極のところ「優良な物件」を取得すること、「優秀な管理会社」に管理を依頼することにつきます。
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